新しい片頭痛治療薬のご紹介
片頭痛発作が起こるのをおさえるためにつくられた
新しいタイプの予防薬が登場しました。
月1回の皮下注射で
1 頭痛の回数が軽減する
2 急性期治療薬*の効き目が良くなる *痛くなったときに使うお薬
3 日常生活の支障が軽減する
など様々な効果があります
現在3社からお薬が出ています
(2021年9月現在)
■エムガルティ 一般名:ガルカネズマブ
(製薬会社:イーライリリー/第一三共)
■アジョビ 一般名:フレマネズマブ
(製薬会社:大塚製薬)
■アイモビーグ 一般名:エレヌマブ
(製薬会社:アムジェン)
■いままでの片頭痛予防薬は
内服薬としてデパケン(バルプロ酸)、ミグシス(ロメリジン)、トリプタノール(アミトリプチン)、トピナ(トピラマート)などが一般的に使用され、毎日服薬する必要がありました。
■今回、認可された予防薬は、月一回の投与ですむ注射薬となっています。
■片頭痛を引き起こす原因物質であるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の働きを抑える「CGRP阻害薬」は片頭痛の予防薬に設計されたモノクローナル抗体薬です。
■そのため、副作用が極めて少なく、非常に高い効果を見込めますが、原則として内服ではなくクリニックでの注射が必要なので定期的な通院が必要です。
内服薬と比べて、薬価が高価(3割負担の方でおおよそ13000円から15000円)ですが、毎日内服する薬と違い、1か月に1回の注射で済みます。
CGRP阻害薬の効果(例 エムガルティ)
投与開始してから6か月の有効性として
*1か月あたりの片頭痛日数が平均8.6日から3.6日分減った
*投与1か月目から効果が認められた(片頭痛が約3.8日分減った)
*片頭痛日数が半分以下になった人:49.8%
片頭痛日数が1/4以下になった人:25.5%
片頭痛がなくなった人:9.0%
*日常生活に支障のあった日数が14.8日から7.1日分減った
というデータがあり、片頭痛予防薬としてはかなり効果が期待できます。
とくに100%頭痛が改善した人が10%程度いることは朗報です。
当院でのCGRP阻害薬投与の手順
最適使用推進ガイドライン(厚生労働省)を遵守するため、以下は必須です
・医師に片頭痛と診断されていること。
・片頭痛が過去3か月の間で、平均して1か月に4日以上。
・従来の片頭痛予防薬の効果が不十分、または内服の継続が困難な場合。
・妊娠中・授乳中は、十分検討した上での慎重投与
・18歳未満の小児は使用不可。
【当院での診察が初めてな方】
1 まずは、診察を受けていただき、必要な検査(MRIや血液検査など)を行い、片頭痛かどうか判断する。
2 いままで、予防薬を投与した経験がない場合は、一般的な内服による予防薬治療を2週間から4週間程度行う。
3 その結果、内服による予防薬にて片頭痛の回数が減らない場合は、CGRP阻害薬による注射薬を検討する。
【当院で片頭痛の治療中の方】
通常の予防薬治療が無効だと判断された場合、注射薬治療を当日に受けていただくことができます。
(注射薬の在庫が院内にない場合は後日に注射治療をおこないます)